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介護現場をよくするプレミアムコラム

人事考課を考える

ボーナスの季節を前に、
会社では「人事考課」の話題が出始めているころではないかと思います。

ちょうど、僕の勤務先でも「自己チェックシート」を作ろうという話が出ていますが、
そんな折、僕の本の読者の方から、人事考課というわけではないけれども、
「自己点検表」についてアドバイスを頂きたい、というお話を頂きました。

僕自身、これまでの体験から、
自己点検や上司との面接などの方法について色々と思うところがありますので、
今回はそのテーマで書いてみたいと思います。


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┗┛ 形はいいのですが・・・
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よく一般的に言われる人事考課制度というのは、
「基本的な業務に関する考課」と「目標考課」の2種類があります。

両方とも、まずは自己評価を行い、
その後、直属上司(一次考課者)との面談により再評価し、
そのまた上司(二次考課者、最終考課者)が承認する、という形が多いようです。

基本的な業務の方に関しては、

チェックリストのようなものになっていて点数をつけていくものが多く、
目標考課については期首に考えた目標に対して
どれだけ成果をあげたかが問われる、というものです。

僕はこの形は素直にいいなあ、と思っています。
考課として賞与などに反映させることができるか、
という点ではなかなか難しい点はあるでしょうが、
職員のスキルアップや意識の向上、
そして上司との定期的な面談の機会という意味においては
面白い形だと思っています。

しかし、しかし、です。
残念ながら、運用段階において失敗している組織が多いように感じています。


┏□───────────────────────…
┗┛ 既製品で済ますのは大問題!
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まず、僕が一番の大問題として挙げたいのは、
基本的な業務に関するチェックリストですが、
参考書のコピーをそのまま使っている、というやり方です。


もちろん、参考書に出てくる表はよく練られたものでしょうし、
誰が見ても非のない、また、漏れのない優れたものであることは間違いないでしょうが、
このチェックリストこそは、それぞれの会社における「期待する社員像」を書くべきものだろう、
と僕は思っているのです。

こんな社員を望む、こんな働き方をしてほしい、という
会社の熱きメッセージを社員に伝えるツールであり、
だからこそ、このリストにおいて社員を評価する意味があるのだと信じています。

それを既製品のコピーで済ます、というのは、
人事考課や社員評価をなめている、としか思えないのです。

僕が考えているチェックリストの内容とは、
会社の基本理念から始まり、社会人としての基本、
介護業務の知識、それぞれの職種や担当業務、
それに外部評価などで求められる介護の質を、
各研修やマニュアルの内容に対応させる形です。

点数の配分なども考えて、
バランスよく社員の力や日常の努力を評価できるシートに仕上げたいと考えています。

自社の社員として働くにあたっての「目次」のような役割を果たすのです。

備えてほしい知識や態度、行動をリスト化し、
それに沿って仕事も行い、だからこそ評価もできる、という形をとりたいのです。


┏□───────────────────────…
┗┛ もったいないことだらけ・・・
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既製品のコピーでやっているところの特徴は、
そのリストは人事考課の時にだけ思い出すもので、
日頃の仕事には全く影響を及ぼさない、というところにあります。

リストにチェックを入れる時や上司との面談の際に反省するだけで、
しばらくすると忘れてしまう。

半年に一度、大事なことを思い出すというのは、
まあ、悪いことではありませんが、
人事考課のために費やす時間や労力に比して、
日常の仕事に活かせないというのはもったいないの一言だと思うのです。

また、その時だけ思い出すのは評価を受ける部下だけでなく、
評価を行なう上司も同じで、
これでは、リストを使って部下を指導することもできません。

そして、こうした既製品を使っているところでは、
会社独自の理念などはきちんと定められていないことが多く、
上司が部下を指導するにも、その基準がはっきりしていないという問題点もあります。

なので、せっかく時間をかけて行なう研修や、
情報の公表や監査のために整備したマニュアルも
その場しのぎのものになってしまい、積み重なっていかないのです。

色々やってはいるけれども、
それぞれがバラバラでつながっていたいため、
社員の力になっていかない、という現状があるように思います。

僕が思うのは、新しいものを作ろう、というんじゃないんです。
今、せっかくあるものをきちんと活かそう、ということなんです。

管理職なら、日々の仕事の中で色々と感じていることがあるはずです。
こうありたい、という理想もあると思うのです。
それをチェックリストに盛り込んでほしいなあ、と思うのです。

そして、今あるマニュアルをしっかり活用してもらうためにも、
チェック項目に入れたいと思うのです。

今回の最後にもう一つ。

せっかく作ったこのリストを活用するなら、
半年に一度の評価ではなくて、途中の経過評価も
きっちり行なうといいと思っています。

半年に1回1時間やるよりも、
毎月10分でも面談した方が、成果が出るのではないか、
と考えているのです。

今回は、基本的な業務の考課について書きましたが、
機会があれば、目標管理の方法について思うところを書いてみたいと思います。


2009(平成21)年11月