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介護現場をよくするプレミアムコラム

介護って何?という問い

僕がまだ特養に就職して半年のころ。
夜勤の時、クリーニング室で先輩と一緒に洗濯物を畳んでいた時のことです。

「榊原くん、介護って何だと思う?」
と、突然尋ねられました。

その時、僕は少し戸惑いながらも、
「利用者さんと一緒に考えたり、作ったりしていくものかな、って思ってます!」
というようなことを答えました。

答えた後もドキマギしながら、でも、
そんな問いをまだ半年の僕にしてくれたことが何だかとてもうれしくて、
身体がポカポカと熱くなったことを今でも鮮明に覚えています。

当時、先輩の所属していたフロアは、
様々な意見が対立して、現場は混乱状態にありました。
純粋に介護のことだけではなくて、
待遇とか残業とか、そういった職場環境的なことも絡んだ混乱だったように思います。

ただ、そういう色々な要素がごちゃごちゃした感じだったので、
なおさら「介護とは何だろう」という、一番根本的な問いが出てきたのかもしれません。

やっぱり、人は、チームは、組織は、
何が正しいのか分からなくなったり、人同士が衝突して心が傷ついている時には、
揺らがない確固たる信念というか、一つの軸や方向性を求めるものなのかもしれません。

「介護って何だろう」という根本的な問いの答えには、
介護現場で起こる様々な問題を解決していく力が宿っているように思えます。

話を「介護って何?」という問いに戻すと、
僕はいつも介護職は幸せの専門家、と言っていますが、

利用者さんの幸せが最終的な目標と考えるなら、
そこには既成の答えはない、ということになります。

教科書的に言えば、答えは利用者さん本人の中にあって、
自己決定して頂くことが大事、ということになります。
しかし、自分一人の力で何かを決めていく、というのは素晴らしいことですが、
実際はなかなか難しいことなのかもしれません。

要介護の高齢者という状況を考えると、
能力として困難であるということもありうるでしょう。

だからと言って、関わる介護者側が全て決めていく、
というのも、これまたおかしい話ですが、
とかく専門職という立場になると、
既にある答えを、当てはめようという姿勢を往々にして感じます。

そう考えると、自己決定でもなく、介護者からの決め付けでもなく、
三好春樹さんも書いておられるような「共同決定」という言葉が、僕には一番ピンときます。
だからこそ、冒頭の先輩の問いに対して、
「利用者さんと一緒に考えたり、作ったりしていくもの」と答えたのだと思います。

ですが、この共同決定について同僚に話したら、
「でもねえ、お話ができない方や通じない方も多いじゃない」
という返答が返ってきました。そう発想する人は多いのではないでしょうか。

ただ、この共同決定という発想は、話しあいをして一緒に決める、というだけの方法論ではなくて、
「共に」考えていく姿勢、一方的でない姿勢、相手の気持ちを察する姿勢、
既にある答えではなくて、本人にとってのオリジナルな答えを見つけていく姿勢、
というイメージなんですね。

介護職はそうしたことができる人でありたい、と僕は思っています。

2008(平成20)年12月