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介護現場をよくするプレミアムコラム

「幸せにする」…はおこがましい

僕は、介護職は「幸せ」の専門家だ、と考えています。
とは言うものの、「幸せ」という言葉を使うのは、少し気恥ずかしかったりもします。

正義、愛、勇気、に近い言葉なのかもしれません。
まっとう過ぎる、というか、優等生に過ぎるイメージ、
また、きれいごとに扱われやすいイメージだからです。

ただ、それだけに、特に「正義」という言葉にありがちですが、
使いようによっては「権力的」にもなりかねない危険性を孕んでいる、と感じています。
つまり反論できない、錦の御旗のような言葉、ということなんです。

そう思いつつも、介護職の専門性を考えてみた時に、
介護が対象とする生活や人生、その人そのもの、といった全体性の表現、
また介護が目指す究極の目的を表すのには、
色々思いあぐねた結果、僕には「幸せ」という言葉以外にピンとくるものがありませんでした。

よく「その人らしさ」が、介護の究極の目的とされることが多いですが、
「その人らしさ」にしても、何のために実現するのか?と考えていくと、
やっぱり、その人が「幸せ」に生きるため、というふうにつながっていくように思います。

なので、気恥ずかしさや多少の後ろめたさを感じつつも、
「幸せ」という目標を、声高にではなく、静かに心の奥底に秘めておいて、
普段の仕事に活かしていければいいなあ、なんて考えています。

ただ、利用者さん、お年寄りを幸せにする!とはあまり言いたくないのです。
「○○さんを幸せにする」なんて、結婚式くらいでしか言わないですし、聞かないかもしれません。

僕は、人を幸せにする、という言い方には、ちょっとした違和感があって、
それは、何となく「おこがましい」感じがするからなんです。

幸せに「なる」のは、まぎれもなく本人で、
僕らができるのは、そのお手伝いにすぎないのではないか、
という自問自答があります。

もちろん、男として、例えば妻に対して「お前を幸せにする」と宣言することは、
きっと男らしいですし、責任感の表れと感じられます。

それが、「僕はお前を幸せにはできない。お前は自分で幸せになるんだ。
僕はそのサポートをする。」なんて言われても、何だかピンと来ないでしょうし、
何言ってるのこの人は、なんてことになってしまうでしょう(苦笑)。

なので、時には、決意をもって言うべき言葉なのかもしれませんが、
あまり安易に使いたくないですし、
究極的には、幸せと感じるのは本人以外にはありえず、
本人自身の持つ力とか気持ちによって幸せになっていく、
という根本的な見方が僕にはあります。

僕は、介護職は「幸せ」の専門家、と定義していますが、
そんな意味で「幸せ」という言葉を感じてもらえたら、
イメージを共有しやすいかな、と思っています。

2008(平成20)年12月